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Wednesday, May 27, 2020

中国版CDC、武漢の生鮮市場はウイルスの「被害者」? - Newsweekjapan

<新型コロナウイルスの発生源をめぐってアメリカのトランプ大統領と激しく対立する中、中国の当局者が前言を翻した理由は?>

新型コロナウイルスの発生源とされてきた生鮮市場は、むしろ同ウイルスの「被害者」に近い──中国疾病対策センター(CCDCP)の主任がこう発言し、注目を集めている。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)を最初に発症した患者の多くは、中国・湖北省の武漢市にあって野生動物も売買する華南海鮮市場とつながりがあったことが確認されている。だがその後の調査を受けて、同ウイルスが最初に動物からヒトに感染したのが本当にこの市場かどうかについて、疑問視する見方も出ていた。

中国共産党機関紙系のオンライン紙である環球時報によれば、CCDCPの高福主任は5月25日に次のように発言した。「我々は最初、ウイルスの発生源は武漢の華南海鮮市場だろうと推測した。だが今考えれば、同市場はむしろ被害者なのかもしれない。新型コロナウイルスは、そのずっと前から存在していた」

高は1月、新型コロナウイルスは武漢の市場で違法に売られていた野生動物からヒトに感染したと言っていた。だが彼によれば、1月初旬に同市場で採取した検体を調べたところ、下水などの周辺環境からはウイルスが検出されたものの、動物にはウイルスの痕跡が見当たらなかったという。

同ウイルスの発生源は今もはっきり分かっていないが、現在調査が行われており、解明にはもうしばらく時間がかかると高は説明した。

最初の患者は市場との接点なし

武漢は新型コロナウイルスの感染例が最初に報告された場所だが、だからといって感染拡大がここから始まったとは限らない。これまでに見つかった証拠からは、ウイルスがもともとの宿主であるコウモリから、ウイルスを媒介する別の動物(中間宿主)を介してヒトに移ったことが示唆されている。どの動物がウイルスを媒介したのか、どこで最初にヒトに移ったのかは、今も分かっていない。

また1月2日までに新型コロナウイルスの感染が確認されて入院した41人の患者を調べたところ、27人は武漢の海鮮市場と直接のつながりが確認されたが、同市場とつながりのない人も無視できない数にのぼった。

この調査結果は、中国の研究者たちが1月下旬に英医学誌のランセットに発表したものだ。それによれば、2019年12月1日に発症した最初の患者には同市場との接点がなかった。さらに、「最初の患者とその後の患者の間には、疫学的なつながりが確認されなかった」という。

この結果は、「新型コロナウイルスが武漢の生鮮市場で大勢の人に移る前から、誰にも気づかれずにヒトの間で広まっていたかもしれない」という説が妥当なものであることを意味する。

それでもオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の免疫学者であるミシェル・ベーカーは、英ガーディアン紙に対して、「武漢の市場とウイルスの間には何らかのつながりがあり、同市場を訪れた複数の人が感染している」と語った。「異なる複数の種の動物が触れ合うこうした生鮮市場は、問題だと指摘されている」

<参考記事>「新型ウイルスは実験室で生まれた可能性もある」とする論文が登場
<参考記事>新型コロナウイルスの「0号患者」を探せ!

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