インド政府は21日、ソーシャルメディア各社に対して、新型コロナウイルスの「インド型変異株」に言及するコンテンツを削除するよう命令した。
インド通信IT省は、インドで特定された変異株について世界保健機関(WHO)は「B.1.617」と呼んでおり、「インド型」などの表記は間違っているとしている。
新型コロナウイルスの様々な変異株の呼び方についてはこれまで、イギリスやブラジルなど、最初に特定された場所の地名が広く使われている。
インド通信IT省はソーシャルメディア各社に、「コロナウイルスの『インド変異株』と名指ししたり、言及したり、ほのめかしたりするコンテンツを全て、プラットフォームから直ちに削除」するよう指示した。この通達は公表されていないものの、インドのPTI通信社が入手し、報道した。
AFP通信も通達を入手。それによると、インド政府は「各国にコロナウイルスの『インド型変異株』が広まっているかのような、誤った内容がオンラインで取りざたされていると承知するに至ったが、これは完全に間違っている」と主張。WHOは「「B.1.617系統の変異に関連して、『インド型変異株』という表現は一切使っていない」としている。
一方で、ソーシャルメディア運営会社の幹部はロイター通信に、「インド型変異株」という表現を使う全てのコンテンツを削除するのは、きわめて難しいと話した。
インド政府は先月下旬にも、政府の感染対策に批判的な内容を削除するようツイッター社やフェイスブック社に命令し、厳しく批判された。
インドでは今年3月から変異株の感染が急激に拡大。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計(23日現在)によると、感染が確認された人数は累計2600万人以上で、アメリカに次ぐ世界2位。死者数は29万5500人以上で、アメリカとブラジルに次ぐ世界3位だが、実際の死者数はこれを大きく上回ると複数の専門家が見ている。
誤情報阻止か検閲か
従来型より感染力の高い「B.1.617」系統の変異株は、昨年インドで最初に確認され、数十カ国に拡大した。オーストラリアなど複数の国がインドからの入国を厳しく制限している。
インドはソーシャルメディア各社にとって巨大市場。今年1月のデータによると、ツイッター社にとっては世界3位の重要市場となっている。
インド政府は今年、ソーシャルメディアの悪用や誤情報の拡散を抑制するためとするガイドラインの実施を開始した。「違法」とされる内容がソーシャルメディア上に掲載された場合、政府は運営会社に削除命令を出すことができる。運営会社が期限内に削除しなければ、訴追される可能性がある。このガイドラインによって、利用者の投稿内容についてプラットフォームの運営会社は掲載責任を免除されないことになった。
ただし、インド政府のこのガイドラインが検閲強化につながり、表現の自由を損なうのではないかと、懸念もされている。
インドではナレンドラ・モディ首相の政府が繰り返し、表現や報道の自由を制限しようとしているという懸念が出ている。政府は4月下旬、モディ首相の感染対策に批判的な約100件の投稿を削除するよう、ツイッターやフェイスブックに指示した。政府は当時、「無関係や古い、あるいは文脈からそれた画像を使ったり、COVID-19関連の誤情報を使い」感染拡大に関する「パニック」を作ろうとしている投稿の削除を要請したと説明した。
インド政府は今月21日にも、インドの一部の政治家によるツイートに「合成または操作されたメディア」というラベルをツイッター社がつけたことを批判した。
からの記事と詳細 ( インド政府、SNS各社に「インド型変異株」言及のコンテンツ削除を命令 - BBCニュース )
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