
恒例行事である「骨太の方針」の季節がやってきた。去る9日、政府の経済財政諮問会議で、その原案が示された。
昨年の骨太の方針は、安倍政権の最後のものであり、今回は菅政権の最初のものとなる。果たして、何か新味はあるのだろうか。そもそも骨太の方針は、それほど意味があるものなのか。骨太の方針の問題を考える。
総花で問題の分析がない
骨太の方針とは、政府としての経済・財政運営の基本的な方針や重要政策をまとめたものであり、正式な名称(先に示されたもの)は、「経済財政運営と改革の基本方針2021」である。
最初に作成されたのは、小泉政権において発表された「骨太の方針2001」である。骨太の方針は、内閣府の重要政策に関する会議の一つである経済財政諮問会議(首相が議長であり、経済財政担当相、財務相、民間議員らで構成)において、通常年明けから関心のあるテーマを決めて検討される。
最終的には、例年6月に諮問会議で決定された後、政府の正式な決定として閣議決定される。
本年1月以降、諮問会議で議論されてきた主なテーマは、グリーン・ニューディール、マクロ経済運営、少子化対策・子育て、人材育成、科学技術・イノベーション、地方行財政、社会保障などである。これらのテーマは、ほぼ先般示された骨子案に含まれている。
骨子案で示されている章は、第1章「新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナの経済社会の展望」、第2章「次なる時代をリードする新たな成長の源泉~4つの原動力と基盤づくり~」、第3章「感染症で顕在化した課題等を克服する経済・財政一体改革」、第4章「当面の経済財政運営と令和4年度予算編成に向けた考え方」となっている。
相変わらずの総花であり、何でも含まれるてんこ盛りである。第2章は、菅義偉首相の方針を反映して、グリーン社会の実現、デジタル化の加速、地方創生、子育ての四つの柱に重点化しているように見えるが、よく見ると、地方創生の中には、中小企業、観光、スポーツ、スマートシティーなどが含まれ、更に、4本の柱とは別に「4つの原動力を支える基盤づくり」として、セーフティーネット強化、働き方改革、教育、経済安全保障、安全安心な暮らしの実現などが挙げられている。なぜこのようになるのか。
各省庁、そしてその背後にいる与党がそれぞれ自分たちの関係する政策をできるだけ盛り込み、これをテコとして、予算の増額を目指すからである。政策の優先順位を整理するというより、各省庁のウィッシュリストなのだ。
もっと大きな問題は、骨太の方針は計画ばかりで、これまでの政策や事業についての検証や評価がないことである。例えば、四つの柱は過去数十年にわたって取り組みが行われてきたことである。
もし、それが成功しているとすると、新たなアジェンダとして位置付ける必要はない。成功していないからアジェンダとして位置付けるわけだが、これまでの取り組みがなぜ当初の目的を達成できなかったかを分析せずに、今後の政策が成功するとは思えない。
菅政権の看板であるデジタルであるが、デジタル化に関しては歴代政権も過去20年にわたり推進してきたはずだ。そしてその端的な結果が、新型コロナウイルス対策の現金給付をオンライン化したときの失敗である。例えれば、骨太の方針は、医者が患者の病気の原因をつきとめずに、薬を処方したり、注射を打ったりするようなものだ。
なお、年初来の諮問会議で社会保障などの各論が議論されているが、ここでも問題の分析はほとんどない。
問題を分析しないのは、無謬(むびゅう)性原則に侵された霞が関の病理でもある。問題を分析すると、前政権や官僚の先輩たちの失敗を明らかにすることになるからである。…
からの記事と詳細 ( 菅政権最初の骨太の方針 計画ばかりで検証が欠落 | | 田中秀明 - 毎日新聞 )
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