岩手県八幡平市の革職人工藤尚史さん(43)は、財布やかばん、馬の装飾具など幅広く手掛けるが、中でも警察手帳用ケースで知る人ぞ知る存在だ。口コミで人気を呼び、全国各地の警察官からオーダーメードの注文が届く。
現在の警察手帳は警察のエンブレムとセットになった身分証で、手帳は付いていない。ケースに入れないのが一般的だが、こだわる警察官も多い。要望に応じ「タンニンなめし」で加工した牛革に、染色や名前などの刻印を施す。世界に一つだけの製品の完成だ。
誰の門下にも入らず、本を読み独学で革細工の技術を習得した。2013年、同市の実家で、オーダーメード専門の工房を始めた。
最初に警察手帳用ケースを作ったのは19年夏。「いま使っている物が気に入らないから」と、訪ねてきた刑事から頼まれた。最初は刑事の同僚から、次第に遠方からも注文が舞い込んだ。氏名や階級、エンブレム部分を覆わないよう配慮しつつ、自分だけの逸品を求める注文に応える。「職務のモチベーションが上がればうれしい」と願う。
年約300件の注文をこなす。オーダーメードの良さは「注文から学んだセンスを新しい製品に生かせること」と話す。年内に警察官向けに注文ウェブサイトを立ち上げる予定だ。
工房名の「4358aging&anti-aging」には、自身の「ラッキーナンバー」と、経年変化する革製品の魅力、そして「使う人に若々しくいてほしい」という思いを組み合わせた。
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