超新星残骸 「カシオペアA」 のこの画像は、X線偏光観測衛星によって収集されたデータ(紫)と、チャンドラX線観測衛星の観測データ(青)を組み合わせたもの。
NASA/CXC/SAO/IXPE
- NASAの新しいX線望遠鏡が最初の画像を撮影し、超新星からの強力な放射を捉えた。
- X線偏光観測衛星「IXPE」は、ブラックホールなどの宇宙天体を研究するために打ち上げられた。
- NASAの研究者は、IXPEを使用して、爆発した星の残骸から放出されるX線をマッピングしている。
NASAの新しいX線宇宙望遠鏡が最初の画像を撮影し、超新星爆発の電磁波の余韻を鮮やかに映し出した。
2021年12月9日にスペースXのファルコン9ロケットで打ち上げられたX線偏光観測衛星「IXPE(Imaging X-Ray Polarimetry Explorer)」は、その後1カ月間を機器の校正や宇宙環境に適応するために費やした。
データを収集する準備が整ったとき、ミッションの管制官は 「カシオペアA」 と呼ばれる超新星に望遠鏡を向けた。カシオペアAは、17世紀に爆発した星が残したガス雲の残骸だ。
最初の画像は2022年2月14日に公開された。ガス雲の幅は約10光年。可視光では上の写真のような見事な紫色ではない。これはNASAの研究者が、雲のどの部分でX線がどれだけの強さかを表現するために着色したものだ。
下の画像では、X線の強弱を表現するために、より広い範囲の色を使っている。
IXPEが2022年1月11日から18日にかけて撮影したカシオペアAの画像。ここでは、紫や青から赤、高温の白まで、さまざまな色でX線の強度を表現している。
NASA
この星が爆発したとき、その衝撃波によって周辺のガスが過熱され、近くの粒子が加速されたため、X線で明るく光っている。このガス雲の中心のどこかに、かつての星の核が崩壊してできた超高密度な天体があるはずだ。それは、ブラックホールかもしれないし、中性子星かもしれない。
IXPEは、星雲、超新星、中性子星、ブラックホールなど、宇宙で最も極端で神秘的な天体を少なくとも2年間かけて研究することになっている。NASAにとっては、1999年に軌道上に打ち上げられたチャンドラX線観測衛星以来の大型X線宇宙望遠鏡だ。チャンドラ望遠鏡も最初にカシオペアAを撮影した。
NASAのIXPE チームを率いるマーチン・C・ワイスコフ(Martin C. Weisskopf)は、「 IXPEによるカシオペアAの画像は、チャンドラによる同じ画像と同様に歴史的なものだ」とプレスリリースで述べている。
「今まさに研究中のカシオペアAについて、見たこともないような新しい情報を得ることができる可能性を示している」
X線偏光観測衛星「IXPE」のイメージ図。
NASA
チャンドラ望遠鏡とは異なり、IXPEは偏光(X線が宇宙を進むときの波の偏り)に着目している。この情報をもとに、X線がどのように発生したのか、また、研究対象によってX線がどのように変化しているのかを知ることができる。今回の観測では、ガス雲の内部で何が起きているのか、なぜ強力なX線が放射されているのかといった新たな発見が得られるかもしれない。
イタリアの国立天体物理学研究所(INAF)でIXPEチームリーダーを務めるパオロ・ソフィッタ(Paolo Soffitta)は、「IXPEによるカシオペアAの画像は素晴らしいもので、この超新星残骸についてさらに詳しく知るために、偏光のデータを分析することが楽しみだ」とプレスリリースで述べている。
現在、IXPEチームは超新星雲全体の偏光X線マップを作成する作業を行っているという。
[原文:NASA's new X-ray space telescope snapped its first image: a stunning exploding star]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)
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