「あいつの飼ってる犬の方が、俺よりいいもの食ってる。こんちくしょう」――。こんなセリフを昭和に刊行されたマンガ雑誌ではよく見かけたものだ。お金持ちの友人に飼われている犬がステーキ肉を食べているのを見た貧乏な主人公が、奮起して活躍していくといったストーリーだ。
きっとその主人公が令和の時代に生きていたら、ドッグフードのサブスクリプションサービス「ファーマーズドッグ」に驚いたに違いない(i)。このサービスは、「かわいいうちの子」である飼い犬のために最適な“料理”を宅配するサービスだからだ。人間が食べても問題ないレベルのドッグフードが、しかも作られてから3日以内に冷凍された状態で宅配される。現在の米国内で毎月数百万食以上を提供しているという(ii)。
まず聞かれるのはペットの名前
申し込みページを見てみると、最初に尋ねられるのは飼っている犬の数と、それぞれの犬に付けている名前だ。次のページでは「オス・メス」「年齢」「体重」に加えて、プルダウンメニューで「犬種」を選ぶのだが、ここで、「かわいい」「おばかさん」「高貴」「がんこ」といった自分の飼い犬の特徴を選択肢として挙げられた形容詞の中から選ばなければならない。「うちの子の名前はチクワ。彼女は3歳の女の子で、最高にかわいいヨークシャーテリアです」といった具合だ。
続いて、「痩せているか肥満か」「活動的かおとなしいか」「食事はよく食べる方か」といった食事のスタイルや影響を及ぼしそうな項目について回答していく。さらに「ドライフード」「缶詰入りのウエットフード」「生のドッグフード」など、現在何を食べていてどのメーカーの製品かについても尋ねられる。「各種食物アレルギー」「便秘気味」「下痢気味」「がん」といった既往症や日常生活における不安事項があれば、20ほどの選択肢の中から選んで伝えることも可能だ。
以上のコミュニケーションが終わってようやく食事のメニューを選ぶ画面になる。「牛肉」「豚肉」「ターキー」の3つが用意されていて、1種類でもよいし3種類を組み合わせることも可能だ。画面下側には、ファーマーズドッグを既に利用しているユーザーが投稿した写真・動画が並んでおり、実際のところどんなメニューなのか、どれぐらいおいしそうに食べてくれるのかなどの参考になる。これでようやく契約ができる。料金は初回のお試し版が20%の割引になり1日当たり2.11ドル(約233円、3種類を組み合わせた場合)だ。最初に2週間分のお試し版を購入でき、気に入れば8週間ごとにまとまった量を送り続けてくれる。
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