今回、CSゴルフネットワークの番組「松山英樹未踏の道への挑戦〜メジャー制覇、そして全米プロへ〜(2021年5月放送)」のなかで、プロキャディの杉澤伸章さんが、マスターズ制覇を支えた飯田トレーナーにその心境を伺いました。
「18番のリーダーボードをみた時に、なぜだか涙が出てきた」
杉澤:(優勝して)嬉しかったですね。飯田:良かったです。
杉澤:松山選手と(の付き合い)は何年ですか?
飯田:2014年からなので、8年目になります。他のみんなはわからないですけど、僕的には「もう8年も経ったんだ、それは英樹もおっさんになるな」って感じです(笑)。
杉澤:もう29歳ですもんね。
飯田:最初からずっと就かせてもらっているので、努力する姿も痛みも全て見てきました。
杉澤:トレーニングの中で松山選手を追い込ませせたことは、今となってはやっていて良かったと思いますか?
飯田:マスターズに優勝した後に2人で話す時間があって、その中であれやっておいて良かったね、これやっておいて良かったねという話をしました。
杉澤:飯田さんから見て、どのプレーがキーになっていたと思いますか?
飯田:(最終日の)1番は、ド緊張で口から心臓が出てるんじゃないかなと思うくらいに見えて、ミスショットになった後、2番でティーショットがフェアウェイど真ん中に行った時にもう大丈夫なのかなと思いました。
キーポイントは毎ホールあるんです。3番のチップショットだって難しいし、4番も左奥からのチップショットは難しいし、毎ホールキーポイントがあると思うんです。
15番のセカンドショットがあるから、16番のショフレの池があるのかなとも思いました。(ショフレが)12番のバーディーで急に息を吹き返すじゃないですか。英樹があそこで「守りたくなかった」というのを聞いて、あそこで守っていたらショフレがバーディやイーグルになっているのかなとか、英樹が後ろから2オンを狙うことで「まだ英樹は諦めていない」という見えない心理戦があったとかなと、後々みんなで話をしていて思いました。
杉澤:ロープ際から見て、松山プロの姿はどう見えましたか?
飯田:(松山選手より)こっちのほうが、歩いているだけなのに、自分の心臓の音が聞こえるくらいバクバクしてました。16番までで2位と2打差でしたが、3打差だったらそこまで緊張していないと思うんです。
2打差で17番に入って、あと2回フェアウェイに行けば、英樹のアイアンだったらなんとかなるっていうのがあるじゃないですか。
あと2発、なんとかフェアウェイに行ってくれと思いながら17番ティーで見ていたら、フェアウェイど真ん中行ってくれました。
セカンドショットは、「頼むからグリーンに乗ってくれ」と思っていました。歩いているだけなのに自分の鼓動が聞こえて、マスクをしていたので息苦しくなってしまって、酸欠状態でした。
僕が立っていた位置からリーダーボードが見えて、松山英樹の名前がトップに来ていて、あと2mのパットを2回で入れたら、僕たちが目指していた日本人で初めてメジャーを優勝すると思った時に、なぜかわからないですけど泣いてしまいました。
杉澤:泣きますよ、それは。僕たちもみんなテレビ見ながら泣いていました。
飯田:英樹が歩いて来て抱き合ったときに、一番最初に約束をしていたことを守れて良かったなと思いました。
杉澤:どんな約束をされていたんですか?
飯田:「メジャーを獲ろう」という約束を掲げていたので。それを達成できて良かったと思ったら、余計に泣いてしまいました。
杉澤:あらためて、この8年はどんな年月でしたか?_
飯田:あっという間の8年でした。勝てなかったここ最近は辛い時期もありましたけど、トータルするとあっという間の8年間でした。英樹も努力を辞めたことが8年間なかったですし、その中で一生懸命やれて良かったと思います。
良くも悪くも、一番長く彼のそばに居させていただいているので、そういう意味では(いろんな面を)見させてもらっています。(松山プロのことを)みんな好きだから一生懸命やれると思います。
杉澤:さっきおっしゃった、松山プロの後ろにリーダーズボードがあってあと2打で優勝できるシーンは、死ぬまでその映像は消えないんじゃないですか?
飯田:消えないでしょうね。多分自分が死ぬときに思い出して死ぬんじゃないかと思うくらいです。良い経験をさせていただきました。
杉澤:次は、全米プロ優勝インタビューで・・・よろしくお願いします!
飯田:メジャー2連勝?それ最高ですね!
★CS放送ゴルフネットワーク「松山英樹 未踏の道への挑戦〜メジャー制覇、そして全米プロへ〜(2021年5月放送)」より
(写真:Getty Images)
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