
新たな変異ウイルス「オミクロン株」の感染が広がりを見せていることを受け、政府は世界のすべての国や地域を対象に外国人の新規入国を原則、停止することになりました。
変異ウイルスを巡っては、これまで国内で初めて感染が確認されてから、2か月ほど経ったあとに道内でも感染者が報告されていて専門家は社会全体のワクチン接種率を高めることが、感染拡大を抑える上で重要だと指摘しています。
【「オミクロン株」とは】
南アフリカで最初に確認された「オミクロン株」は、▼隣国のボツワナをはじめ、▼アジアの香港、▼中東のイスラエル、▼ヨーロッパのイギリスやベルギーなど複数の国、▼北アメリカのカナダなど、世界各国で感染の確認が報告されています。
国立感染症研究所によりますと、特徴として、▼ウイルスの表面にある「スパイクたんぱく質」という突起のような部分にこれまでの変異ウイルスの中で最も多い30か所の変異が見つかっていることや、▼遺伝子の欠損などが挙げられ、研究所は、▼これまでよりも高い感染力や▼ワクチンの効果の著しい低下、▼それに再感染のリスクの増加などが強く懸念されるとしています。
ただ、現段階では実験などによるデータがなく、さらに疫学的な情報も十分ではないため、注視していく必要があるとしています。
「オミクロン株」については、WHO=世界保健機関も一度、感染した人が再び感染するリスクが高いとして、「懸念される変異株」に指定しています。
【これまでの変異ウイルスとオミクロン株】
海外で確認された変異ウイルスは、過去にも国内で感染が広がっていて、これまでは2つの変異ウイルスが、国内で初めて感染が確認されてから、およそ2か月ほどあとに道内でも感染者が報告されています。
道などによりますと、このうち、いま日本国内で感染が広がっている「デルタ株」は、ことし4月20日に国内で初めて確認されたあと、北海道ではその2か月後の6月29日に札幌市で感染者が初めて報告されました。
また、「デルタ株」の前に感染が広がった「アルファ株」は、去年12月、イギリスから帰国した人から初めて感染が確認されたあと、北海道では3か月あまりたったことし3月6日に札幌市と小樽市で初めて感染が確認されました。
道は、これら2つの変異ウイルスについて、感染が拡大した首都圏などと行き来をした人を通じて道内で感染が広がったとみています。
「オミクロン株」への対応について、道は、道立衛生研究所で、「次世代シーケンサー」と呼ばれる分析装置を使って変異ウイルスを特定できるようにするなどして、監視態勢を整えています。
道は、「オミクロン株」の感染力などについて、まだ分からないことが多いとしていて、情報収集を進めるとともに、市民には手洗いやマスク、さらに密を避ける行動など、基本的な対策を徹底して欲しいとしています。
【市民の反応】
南アフリカで確認された「オミクロン株」について、札幌市民からはこれまでの対策を継続することで対処したいといった声が聞かれました。
このうち、50代の女性は「怖いですが冷静になり、ひとりひとりが感染対策をして乗り越えることが必要です。これまでと同じ対策をとるつもりですが、今後、感染者が増えてくるようなら友人との食事はまた控えようと思います」と話していました。
また、18歳の男子高校生は「新しい変異ウイルスは少し脅威ですが、札幌での新たな感染者の人数はかつてよりも減少傾向にあると思うので、これまでの対策を継続することである程度対処できるのではないかと思っています」と話していました。
【道内の入国者への対応】
道内の検疫を担当している小樽検疫所によりますと、道内の空港や港から入国する人もPCR検査を受けたうえで決められた日数の待機を求められるということです。
仮に検査で陽性が確認された場合は、検疫所が借り上げている宿泊療養施設で待機が必要になります。
ただ、道内を発着する国際線は、去年の3月下旬以降、すべての便の運休が続き、ことし1月から9月までの道内の空港や港からの入国者は、やむをえない事情のある人など13人にとどまっています。
小樽検疫所は「現在、定期便が運航していないので、新千歳を含めて道内の空港から入国する人はほとんどいないと考えられる」としています。
【“ワクチン接種率向上を”】
「オミクロン株」について、国立感染症研究所の名誉所員で札幌市保健所の西條政幸医療政策担当部長は、「日本に入ってくる可能性も否定できない」とした上で、社会全体のワクチン接種率を高めることが、感染拡大を抑える上で重要だと指摘しました。
西條部長は、「オミクロン株」の特徴について、「伝搬性が少し高まるとか、病原性が高まっているという可能性もあるが、詳細はまだ分かっていない。ワクチンを接種した人に対してどれだけ病気を起こす力があるのかなども含めて、しっかりと調べて対応していくことが重要だ」と指摘しました。
その上で、西條部長は、「南アフリカでは地域によって、オミクロン株の感染者が新たな感染の7割から8割を占めていて、既存のウイルスを置き換えているという。これは南アフリカだけの現象とは考えづらく、こうした変化が急速に起こっているとすれば、他の地域でも同様のことが起こると予想される」と述べて、「日本に入ってくる、またはすでに感染者がいる可能性も否定できない」との認識を示しました。
しかし、西條部長は、「新たな変異ウイルスといっても新型コロナウイルスであることには変わりない。いまの日本のワクチン接種率の高さ、それをさらに高くしていけば、このオミクロン株の流行であったとしても対応できるような社会になり、大きな感染拡大にはならないと思う」と述べ、社会全体のワクチン接種率を高めることが、感染拡大を抑える上で重要だと指摘しました。
そして、行政機関としては、「まずはウイルスの特徴についてしっかり把握し、市民と情報共有していくことが重要だ」と強調した上で、市民には、「これまでと同様に手洗いや、人と会うときにはマスクをしたり、可能な範囲で人混みを避けたりするなど今、みなさまが行っている対策を継続していただくことが大事だと思う」と呼びかけました。
からの記事と詳細 ( 「オミクロン株」全世界対象 外国人の入国原則停止|NHK 北海道のニュース - nhk.or.jp )
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