シリーズ累計158万部を超え、ビジネスパーソンの圧倒的な支持を集める「グロービスMBAシリーズ」。シリーズ最新刊『グロービスMBAミドルマネジメント』は、初めて部下を持つ人が押さえておきたい知識を網羅した1冊だ。本連載では、本書の執筆者である嶋田毅氏が、ミドルマネジャーの仕事の重要性やその課題について、書籍の内容を踏まえながら解説する。第3回は、モチベーションの低い部下をいかにマネジメントするか考える。
モチベーションが低い若手部下をどうするか
【事例】
エメラルド出版(仮称)の経営出版部の副編集長Aは、数ヵ月前に配属されたBの扱いに悩んでいた。
同社では、編集者希望の学生であっても、入社後数年間は営業部に配属され、書店への営業などを行う。そのうえで編集部に異動するというやり方をとっていた。Bは入社から3年間、営業で優秀な成績を残し、この春、経営出版部に配属された26歳の若手である。A副編集長は一般企業でいえば課長に相当するミドルマネジャーであり、Bはその部下となった。
A副編集長がBに最初に任せたのは、まずは先輩編集者の手伝いであった。半年ほどで基本的な業務を学んでもらった後、いよいよ責任者として書籍を任せることにした。最初に任せたのは『ビジネス川柳100』というウェブ募集型の書籍のプロジェクトと、『7Days Management』という洋書の翻訳プロジェクト管理であった。30歳前後のビジネスパーソンをターゲットにした、比較的読みやすい書籍である。
しかし、プロジェクトを任せてからのBは、必ずしも前向きに仕事をしているようには見えなかった。A副編集長はこれまで、若手にはまずは比較的容易と思われる仕事を割り振り、慣れてもらうというやり方をとっていた。しかし、どうもBにはそのやり方がフィットしていないようだった。
ある日、A副編集長はBに話しかけた。
「B君、なんだかあまり仕事が楽しくなさそうに見えるんだけど」
「……すいません。今の仕事がどうも自分には合わない気がして」
「そう? どんなところが、かな」
「こういう言い方はなんですが、やや軽すぎる本とでもいうか」
「でも、最初から難しい仕事はなかなかできないものよ」
「それは分かるのですが、例えば先輩のCさんやDさんの仕事の手伝いをしている時は、経営出版部らしい手ごたえのある本で、大変ではあったけど本当に面白かったです。もちろん、まだ勉強は必要ですが、ああいう書籍づくりのお手伝いをした後だと、どうにもあまり気が乗らなくて」
「確かに、あの2人はB君のことをすごく褒めていたね。それに比べると、今の仕事は面白くない?」
「いえ、『7Days Management』は何とか頑張れそうです。ただ『ビジネス川柳』の方が、正直憂鬱です。僕は自分でいうのもなんですが、笑いやユーモアのセンスがあまりないので。A副編集長からすると簡単に思える仕事なのかもしれませんが、正直、自分には重荷です。良い本にならない気がして」
「そこはもちろん私も手伝うよ」
「ただ、ご迷惑をおかけしてしまうだけになってしまいそうで、本当に気乗りがしません。せめてこちらだけでも担当を変えていただけないでしょうか」
「…そこは皆の都合もあるから、今すぐイエスとはいえないけど、B君の気持ちは分かったわ。ちょっと考えてみる」
「よろしくお願いします」
A副編集長はこの会話の後考えた。
「彼に編集者としてのポテンシャルが十分にあるのは分かるけど、まずはいろいろなジャンルの書籍を経験させたい。ただ、モチベーションの湧かない仕事を任せて結果が出なくても困るし。さて、どうしたものか…」
からの記事と詳細 ( 「苦手」「興味がない」「失敗したくない」やる気がでない部下を動かす3つの方法 - ダイヤモンド・オンライン )
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