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Tuesday, March 22, 2022

手元も見やすい跳ね上げ式メガネ Zoff「FLIP UP」 裏ワザで快適に - Impress Watch

bantengkabar.blogspot.com
「FLIP UP」。筆者が購入したのは「Business」と呼ばれる、ヒンジが中央部の一カ所にのみあるタイプ

筆者が「なるほどこれが老眼というものか」と最初に感じたのは、3~4年前、Pokemon GOをやりこんでいた時のことでした。夜道など暗い場所でスマホを見る頻度が高くなったせいか、手元は徐々に見づらくなり、その後しばらくして爪を切るにも不自由するようになりました。年齢的には十分あり得るとはいえ、なかなかショッキングな出来事でした。

こうした事態に対処するため、遠近両用のメガネの購入を検討し始めたのですが、知人が遠近両用レンズの特殊な見え方に馴染めずにすぐ元に戻したのを見て、別の方法を模索し始めました。結果たどり着いたのが、俗に跳ね上げ式と呼ばれる、手元を見る時にレンズを跳ね上げられるメガネです。これならばメガネを掛けたり外したりする必要がなくなります。

そうしたタイミングで新しく発売されたのが、1万円台前半で買えるZoffの跳ね上げ式メガネ「FLIP UP」です。中央のブリッジ部にヒンジが付いており、両レンズを跳ね上げる構造を持ったメガネです。購入してここまで約半年、実際に使ってみて便利と感じたところ、また一方で不便と思えるところ、両方あったので紹介します。

跳ね上げ式ながら実売1万円台前半

本製品の外観は一般的なメガネと変わりませんが、中央のブリッジ部にヒンジが付いており、メガネのレンズを左右まとめて跳ね上げることができます。こうした跳ね上げ式のメガネの中には、レンズが2層重なった状態になっていて、その表側だけを跳ね上げるタイプもありますが、本製品はレンズは1層のみで、跳ね上げると完全に裸眼と同じ状態になります。

本製品の最大のメリットは、手元を見たい場合に、わざわざメガネを外さなくて済むことです。冒頭に紹介した、スマホを見たり爪を切ったりといった場合に、メガネ自体を外すという面倒なことをしなくとも、レンズを上に跳ね上げ、用が済んだらすぐに元に戻せます。ほんのちょっとしたことですが、効果は抜群です。

また本製品は実売価格も1万円台前半と、おサイフに優しいのが特徴です。今回はキズ防止などのオプションをつけたこともあり数千円程度プラスになりましたが、実質13,800円から購入できるので、手軽に試すことができます。

外見は一般的なメガネですが……
レンズ部を上に跳ね上げることができます
真横から見たところ。軸がかなり低い位置にあるため、跳ね上げた状態でも視界を覆ってしまうのがデメリットです
上から見たところ。フレームから見てレンズ部が浮いた状態になっているのがわかります

使い続けているうちに問題点が発覚

当初は快適に使っていたこの「FLIP UP」ですが、しばらくして困った問題が発覚しました。それはヒンジの保持力があまり強くなく、うつむいただけでレンズが上に跳ね上がるようになってしまうことです。

こうした跳ね上げ式のメガネの理想は、ふだんはレンズが降りた状態を保ち、手で持ち上げたあとはその状態をキープできることでしょう。つまり何もしなければレンズの角度が変わらないことが重要で、姿勢によってレンズがパカパカと開いたり閉じたりするのはNGということになります。

しかし本製品をしばらく(筆者の場合は2週間ほど)使っているうちに、ちょっとした衝撃でレンズが開くようになってしまいました。例えば駅の階段を降りようと下を向いた瞬間、レンズが半分ほど跳ね上がり、階段の段差が見えなくなってしまうといった具合です。これは非常に危険です。

メガネを前傾させた状態。本来はこうあるべきですが…
しばらく使っているうちに、前傾するだけで半開きになるようになってしまいました。これは困りものです

ヒンジの横にあるネジを締め直せばこの症状は解消するのですが、前日の晩にしっかりと閉めたはずが、翌日に小一時間ほど外出しただけで元の状態に戻ったりと、次第に効果が弱まってきました。これでは使い物になりません。

購入店舗にも何度か足を運んで調整しつつ症状について相談しましたが、ネジを閉める以外の方法はないとの回答でした。別の理由で交換してもらったフレームでも同じ症状だったことからして、個体の問題でもないようです。

ヒンジ部分を固定しているネジ。プラスドライバーで締めただけでは、一晩もしないうちに元に戻ってしまいます

このまま改善できなければ継続して使うのは少々厳しいかも……と思っていたある日、思わぬところで解決の糸口が見つかりました。それはリキテックスが販売している「サテンバーニッシュ」という塗料をヒンジに塗布するというものです。

この「サテンバーニッシュ」、もともとはアクリル画の表面を保護する皮膜を作る塗料なのですが、モデラーの間では、プラモデルの可動部に染み込ませることで、緩くなった動きを重くできる効果があることが知られています。

これをヒンジに塗れば、手で跳ね上げるまでは動かず、いったん跳ね上げたあとはその角度をがっちりキープできるという、理想的な仕様に変身します。塗布するといっても分解する必要はなく、筆などを使って隙間から染み込ませ、はみ出た部分は乾燥してから爪先でカリカリ削り取れば済むので、非常に手軽です。ただし、メーカー保証外の利用になるのでその点は忘れずに。

筆などに染み込ませ、ヒンジ部分に流し込みます
はみ出たら綿棒などで拭き取るか、乾燥後に爪先で削り取ります

水溶性ゆえ、長期間使っていると水洗いなどで効果は薄れてきますが、とはいっても1~2カ月は持続するので、前日晩にしっかり閉めたネジが翌日もう元に戻っているといったストレスからは開放されます。暴れ馬だったのがいきなり従順になったイメージです。

ともあれ、このサテンバーニッシュの塗布という裏ワザによって実用性は劇的に改善し、快適に使えるようになりました。腐食などの悪影響もいまのところは見られず、特にデメリットも感じられません。同様が悩みを抱えている人は(自己責任にはなりますが)、ぜひ試してみてほしいと思います。

ヒンジが2カ所にあるモデルがおすすめ?

ちなみに今回筆者が購入したのはこの「FLIP UP」の中でも「Business」と呼ばれるタイプで、これはヒンジが中央1カ所にしかありません。同じ「FLIP UP」でもほかのモデルは、ヒンジがフレーム上部に計2カ所あるなど、構造自体が異なります。

実際に使い比べたわけではありませんが、ヒンジが2カ所あれば、筆者が今回遭遇したような問題は、強度的には起こりにくいと考えられます。他社の製品も含めて、こうした跳ね上げ式のメガネでは2カ所で支えるタイプが多いようですので、購入にあたってはそうした製品を優先したほうが、快適に使い続けられそうです。

ともあれ、手元を見る時にわざわざメガネを外さずに跳ね上げるだけで済むのは、思った以上に便利です。特に電車内でスマホを見る場合など、外したメガネを傍らに置くことができないシチュエーションでは、その効果は絶大です。ヒンジの強度については留意していただきつつ、老眼を感じ始めた人にぜひおすすめしたいと思います。

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