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Tuesday, January 28, 2020

「原因不明の肺炎患者」初確認は12月8日だった 新型コロナウィルス情報公開と対応の遅れを検証 - www.fnn.jp

新型コロナウイルスによる肺炎の死者は中国本土で100人を超えた。発症者は4000人を超え、感染は中国以外では、日本を含む世界の16以上のの国と地域に拡大している。SARS=重症急性呼吸器症候群感染拡大の時と同様、情報公開や対策の遅れが指摘されているが、対応を誤ると習近平指導部の足元を揺るがしかねない問題だ。現地メディアの報道やSNSの情報などから中国当局の対応について検証してみた

病院に殺到する武漢の人々

12月8日に原因不明の肺炎患者を初めて確認

そもそもこの新型肺炎の発生はいつだったのか。

中国の検索サイトで調べると「2019年12月8日に武漢市は原因不明のウイルス性肺炎に感染した患者を初めて確認した。その後も原因不明の肺炎の症例は増えている」とする中国メディアの報道が確認できる。結果的にこの症例が新型のコロナウイルスによるものだったかはわからないが、少なくとも12月8日に湖北省の武漢で「原因不明の肺炎」症例が確認されていたことがわかる。そして、ネット上には、12月30日、「原因不明の肺炎に関する緊急通知」と題する武漢市衛生当局が出した文書が街中に出回ったとする情報があり、さらに検索すると「緊急通知」文書とする写真が確認できる。各医療機関にあてたもので、武漢市の海鮮市場で原因不明の肺炎患者が相次いでいるので同じような肺炎の患者の数をまとめて報告してほしいという内容だ

中国のSNSより

報道では、この2日後の1月1日にウイルスの発生源と指摘されている武漢市の海鮮市場の休業が発表された。事実上の閉鎖措置だ。原因不明の肺炎発生から市場の閉鎖まで約3週間かかってしまい、中国でも情報公開と対応の遅れが指摘されている。

海鮮市場閉鎖の通知

1000万都市武漢を封鎖、パック旅行禁止など対策とるも感染歯止めかからず

この武漢市で多発している原因不明の肺炎が新型コロナウイルスによるものと初歩的に判断されたと中国メディアが報じたのが1月9日。最初に確認された症例から1か月が過ぎている。後に中国の衛生当局は、潜伏期間は1日から14日間で、その間にも感染するとの見方を示しているが、「春運」と呼ばれる延べ30億人の大移動が始まったのはこのころだ。感染したことを知らずに高速鉄道に乗った人が大勢いるかもしれない。習近平国家主席が、新型コロナウイルスによる肺炎で初めて指示を出したのは確認できる限りでは1月20日だ。「断固としてウイルスの蔓延を阻止するように」習主席は、春節で大勢の人が移動する時期であることを念頭に檄を飛ばし、情報の即時公開などを指示した。

新型コロナウィルス

また、中国の専門家チームのトップが「ヒトヒト感染」が起こっていることを明らかにした。これを境に国営テレビはじめ、中国メディアが新型コロナウイルスによる肺炎のニュースを大きく扱うようになり、首都の北京や上海でもマスクが品薄になるなど市民の警戒レベルが一気にあがった。しかし、この頃、武漢をはじめ多くの人々が春節休みで国内外に移動し始めてしまっている。23日には武漢の空港や駅が閉鎖され、人口1100万人の都市で人の移動を制限する異例の措置がとられた。この時点で「原因不明の肺炎」が最初に報告されてからほぼ7週間が経っていた。さらに、27日からは海外パックツアーを禁止。対策に躍起の中国当局だが感染拡大に歯止めがかかっていない。発症者はチベット自治区を除く中国全土で確認されている。武漢では2月2日と5日の完成を目指し、2か所の専用病院を急ピッチで建設しているほか、李克強首相が現地に入り患者を見舞い、医療関係者を激励し、対応の遅れと感染拡大によるマイナスイメージの払拭に努めている。しかし、四川大地震の際、当時の温家宝首相が発生初日に現地入りしたことと比べられ、対応が遅いと批判の声も出ている。

米中貿易戦争、香港デモ、台湾総統選に続き習政権に難題

こうした中、共産党系のメディア「環球時報」は22日、「武漢市は新型コロナウイルスを封じ込めることができなかった」などと武漢市の対応を批判する社説を掲載。共産党がすべてを指導する中国でこうした論評を掲載するには、党上層部の許可があったとみるのが自然だ。メディアを通じて感染拡大の責任は、武漢市指導部にあると言っていると受け取れる。

武漢の周先旺市長

批判されたた武漢市の周先旺市長は、27日に国営テレビにマスク姿で出演した際、情報公開と対応の遅れについて非を認めた。一方で周市長は「地方政府としては、情報を得た後、許可があってから公開できる。この点については理解されていない」と釈明し、情報公開にあたって上級レベルの許可がなかったことを強く示唆した。武漢市より上のレベルとなると湖北省や党中央、さらには国そのものの指示となり、周市長のこの発言は、責任を武漢市だけに押し付けようとする動きに抗っているようにも聞こえる。

この問題は、習近平政権にとって、米中貿易戦争、香港のデモ、台湾の総統選で中国寄り候補の敗北に続く試練で、対応を間違えると市民の不満や党内部からの批判が高まり、政権の足下を揺るがしかねず、一地方幹部である周市長のこの発言は極めて異例だ。

習近平国家主席

今回の新型肺炎の感染拡大はSARSと比較されているが、中国の国際的地位や世界経済に与える影響は当時とは比べものにならないほど大きくなり、世界を移動する中国の人々の数も桁違いに増大している。世界第二位の経済大国として中国には改めて情報公開と透明性の確保が求められている

【関連記事:「新型コロナウィルスで習近平体制ピンチか? 中国歴代王朝も感染症で崩壊」】

【執筆:フジテレビ 国際取材部デスク 垣田友彦】

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January 29, 2020 at 04:40AM
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