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Sunday, August 9, 2020

【コラム】文在寅時代、「恐ろしい人々の恐ろしい政治」(朝鮮日報日本語版) - Yahoo!ニュース

 朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長の事件を見守っていて、「実に恐ろしい政権」だという考えが頭から離れなかった。この政権の人々は、被害者の告訴事実をリアルタイムで横流しし、政権支持者は「被害呼訴人(被害を訴えている人)」という新造語を生み出して被害者への2次、3次攻撃をためらわなかった。しかしこの政権と、政権の人々が恐ろしいのは、こういう理由からではない。 ■韓国、腐敗認識指数39位、日本は?  この事件を最初に認知した検察と、告訴状を受理した警察の報告ラインに位置していた少なからぬ数の政権側の人々は、朴市長が「極端な選択」をする前から事件の情報を共有した。それでいて誰も、予想できたはずの朴市長の「極端な選択」を押しとどめなかった。朴市長は、似たような事件に連累した釜山市長や忠清南道知事とは違う生き方をしてきた人物だ。人権弁護士として名を上げ、女性の権益擁護の先頭に立ち、裁判所でセクハラ事件に対する最初の判例を引き出した主役の一人だった。  政治状況判断で生涯を過ごしてきた青瓦台(韓国大統領府)の人々が、朴市長の置かれた立場を知らなかったはずはない。市長の政治的ブレーンも同様だ。なぜ彼らは「極端な選択」を止めなかったのだろうか。退路を断たれた人間を放置するのは、背中を押すようなものでもある。朴市長の行動は「極端」だったが、彼が進んだ道は「選択の結果」ではなかったというわけだ。それは「強要された選択」だった。絶壁の前に立つ人間の命を救うより、「極端な選択」を「政治的得失のはかり」に掛けて計算したのだ。

 朴市長を死の道に追放した彼らは、彼の死後、大層な花束と無数の称揚の言葉で「強要された選択」を覆い隠した。死をはかりに掛ける彼らの計算法はどんなもので、そういう判断において参考とする前例は何だったのだろうか。彼らは、捜査を受け続けるよりも死を選んだことで政治的に復活できた盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領と、死を選んだことで陣営内において人となりが語り継がれている魯会燦(ノ・フェチャン)元議員の例を思い浮かべたことだろう。「人が先」という政治スローガンはまやかしだ。命より大切なのは陣営の利益だ。朴市長にささげられた、ソウル市葬という過去になかった葬儀の手順や朴元淳文書記録館の建設推進は、朴市長の生涯を最後まで政治に利用する振る舞いだ。偽善を上回る道徳性の堕落だ。  今、この国で起きている「政治という名の暴力劇」は、朴市長の死というレンズを通してのみ理解できる。「(われわれの)権力も厳正に捜査せよ」という大統領の言葉をありのまま信じて従った検察総長(検事総長に相当)はどんな目に遭ったか。ついてきた後輩らは仕事を辞めたり、遠方への流刑のような左遷処分を受けたり、検察の捜査を受けたりしている。捜査の主体は、朴市長の告訴関連情報を真っ先に知って権力上層部へ横流しした疑いが持たれているソウル中央地検だ。検察総長とはいっても、頭も胴も手足も全て切られて椅子があるだけのポストだ。大統領の言葉だけを聞き、その真意を読み取らなかったことが罪だった。

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