(写真:etiennevoss/iStock)
インドカレーを家庭で作ろうとネット検索などでレシピを調べると、材料の1つとしてよく登場するのが「トマト缶」です。常備しておけば手軽に本格的なカレーが作れる一方で、どんなカレーにも合う万能な存在ではないようです。トマトといっても、生のトマトやトマトピューレ、トマトペーストなど選択肢が多数ある中で、どのようなものを使えばいいのでしょうか。『「エリックサウス」稲田俊輔のおいしい理由。インドカレーのきほん、完全レシピ』を上梓した稲田俊輔さんが、カレー作りにおけるトマトの使い方を解説します。
インドカレーのベースは基本的に[玉ねぎ・トマト・にんにく・生姜]の4つから作られます。ただし、実のところ本場インドでは、これらのうちのいくつかが欠けているカレーもたくさんあります。むしろそのほうが普通と言ってもいいでしょう。
ですが、この4つが入らないカレーは、日本人的感覚だとカレーではない何か別のお惣菜のように感じられるかもしれません。ですので、あくまで日本人にとってのインドカレーらしいインドカレーには、この4つが必ず入ると言ってもいいと思います。
玉ねぎ・トマト・にんにく・生姜、この4種の野菜に、肉類をはじめとする主材料、そして各種のスパイスが加わって、カレーが完成します。今回はこの中の「トマト」に焦点を当てて、その役割や使い方を解説していきたいと思います。
カレーにおけるトマトの重要な役割
カレー作りにおけるトマトの最も重要な役割は「うま味」です。トマトは野菜類の中では突出して豊富なグルタミン酸を含む食材。そのためトマトは、世界中で煮込み料理やソース類のベースとして使用されており、カレーももちろん例外ではありません。
さらにそこに、イノシン酸を多く含むチキンなどの動物性食品が主材料として加われば、うま味の相乗効果で極めて豊かな味わいが現れるのです。つまりトマトは、和食における昆布ダシと同じ役割を果たしているとも言えます。
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