中国が重視してきたダボスの舞台で
習近平が登壇したことの意味
2022年は、習近平国家主席にとって勝負の年になる。
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えつつ、経済成長を実現すること。北京冬季五輪という国家的一大イベントを成功させること。最大の懸念事項の一つである米国との関係を安定的に管理すること。香港、新疆ウイグル、台湾、および中国の特色ある社会主義・共産党一党支配体制といった中国にとっての「核心的利益」を死守すること。これらを保証した上で、今秋に開催予定の第20回党大会で政権3期目突入を実現すること――。さまざまな重大局面が待ち受けている。
そんな習近平主席(以下敬称略)が、「今年最初に出席した重要な多国間外交活動」(王毅外相兼国務委員)が、1月17日に開催された世界経済フォーラム(通称「ダボス会議」)によるオンライン形式の準備会議「ダボス・アジェンダ」である。会議初日、習近平は計5日間にわたる全プログラムのトップバッターとして基調講演を行った。
中国共産党指導部は、ダボスという国際会議を政治的に重視し、戦略的に活用してきた。「サマー・ダボス」との名称で、自国の大連市、天津市でダボス会議の地域版を開催してきた経緯からもそれがうかがえるし、ダボス会議には、国務院総理、副総理、外相といった要人を毎年のように送り込んできた。習近平自身も、これまで最高指導者として2017年、21年(コロナ禍のためオンライン)に出席し、今回が3回目となる。
2022年という習近平自身にとって極めて重要な年における最初の多国間外交活動、しかも党指導部として長年重視、活用してきたダボスの舞台でトップバッター……何か特別な思い入れがあるのだろうと察し、党中央で外交政策に従事する知人に胸の内を聞いてみた。先方は、「特別に重視をしている」という前提で、党指導部として「三つのアピール」が目的だったと指摘する。
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